星に踊る木 ソンダ・パダ
宇宙がいまだ星もなく、まっ暗な闇の世紀に、ひとつのゆっくりとした動きが生まれつつあった。その動きはしだいに形をなし、ソンダ・パダの木としてあらわれた。
そのとき宇宙は、光の世紀をむかえ、つぎつぎに星が生まれていった、虹色 にいく色もの星が、暗い闇を照らし、ソンダ・パダの木は踊りはじめた。
やがてその木から、雨のように種がこぼれおち、種は星の大地に根づいていった。
ピークラの星は、 緑色の光をはなっていた。われめに落ちた種からは、い くつもの雲が生まれ、その雲からゴーシラという風が生まれ、やがて雲と風 からたくさんの雨が大地にふりそそいだ。
われめは海となり、岩の大地には草が生まれ、やがてゴグラの森となった。ゴグラの森から銀色の鳥が生まれ、その島はいつもうたっていた。
ゴグラ ピークラ
ゴグラ ピークラ
シークラ ゴーシラ
この鳥はいつもうたっていたが、踊ることを知らなかった。
あのとき、ゴーシラの風がゴグラの森に何日も吹きあれ、鳥はとうとう吹きとばされて、地につよくたたきつけられてしまった。その美しい銀の羽は、見 るかげもないほどであった。
やっとの思いで、暗い木の穴に身をかくした傷ついた鳥は、不思議な光景を見てびっくりした。それは、このつよいゴーシラの風の中で、踊っていないものはなかったからだ。
どうして、あんな緑の小さな草でさえ、踊りを知っているのだろう。そう思いながら、疲れた鳥は深い眠りにはいっていった。
夢の中で島は、ソンダ・パダの木に飛んでいた。そこで、鳥は、また不思議な光景を見た。ソンダ・パダの木が輝ける星に踊っていた。鳥は夢の中で、「ぼくも踊りたいなあ」 そうつぶやいた。
「わたしの木にとまりなさい。するとあなたは踊るでしょう」
そんな声が星のあいだからきこえてきた。鳥は木にとまるとソンダ・パダに なっている自分を見た。
ゴーシラの風が去ると、ゴグラの森に再び光の朝がおとずれた。その美しい光をあび、ソンダ・パダになった銀の鳥は、高らかにうたい踊っていた。
ゴグラ ピークラ
ゴグラ ビークラ
シークラ ゴーシラ
星に踊る木から 生まれたわれら
踊るわれら
ゴグラの森から 生まれたわれら
踊るわれら
宇宙は 星に踊る木
宇宙は 星に踊る森
ゴグラ シークラ
ゴグラ シークラ
ピークラ ピークラ