2020年7月26日日曜日

『星に踊る木 ソンダ・パダ』(『宇宙の森の物語』より)

ミティラー美術館活動を始める前に制作した絵本『宇宙の森の物語』より『星に踊る木 ソンダ・パダ』をご紹介します。





星に踊る木 ソンダ・パダ


 

宇宙がいまだ星もなく、まっ暗な闇の世紀に、ひとつのゆっくりとした動きが生まれつつあった。その動きはしだいに形をなし、ソンダ・パダの木としてあらわれた。

そのとき宇宙は、光の世紀をむかえ、つぎつぎに星が生まれていった、虹色 にいく色もの星が、暗い闇を照らし、ソンダ・パダの木は踊りはじめた。

やがてその木から、雨のように種がこぼれおち、種は星の大地に根づいていった。





ピークラの星は、 緑色の光をはなっていた。われめに落ちた種からは、い くつもの雲が生まれ、その雲からゴーシラという風が生まれ、やがて雲と風 からたくさんの雨が大地にふりそそいだ。

われめは海となり、岩の大地には草が生まれ、やがてゴグラの森となった。ゴグラの森から銀色の鳥が生まれ、その島はいつもうたっていた。


ゴグラ ピークラ

ゴグラ ピークラ

シークラ ゴーシラ



この鳥はいつもうたっていたが、踊ることを知らなかった。

あのとき、ゴーシラの風がゴグラの森に何日も吹きあれ、鳥はとうとう吹きとばされて、地につよくたたきつけられてしまった。その美しい銀の羽は、見 るかげもないほどであった。

やっとの思いで、暗い木の穴に身をかくした傷ついた鳥は、不思議な光景を見てびっくりした。それは、このつよいゴーシラの風の中で、踊っていないものはなかったからだ。

どうして、あんな緑の小さな草でさえ、踊りを知っているのだろう。そう思いながら、疲れた鳥は深い眠りにはいっていった。




夢の中で島は、ソンダ・パダの木に飛んでいた。そこで、鳥は、また不思議な光景を見た。ソンダ・パダの木が輝ける星に踊っていた。鳥は夢の中で、「ぼくも踊りたいなあ」 そうつぶやいた。

「わたしの木にとまりなさい。するとあなたは踊るでしょう」

そんな声が星のあいだからきこえてきた。鳥は木にとまるとソンダ・パダに なっている自分を見た。




ゴーシラの風が去ると、ゴグラの森に再び光の朝がおとずれた。その美しい光をあび、ソンダ・パダになった銀の鳥は、高らかにうたい踊っていた。


ゴグラ ピークラ

ゴグラ ビークラ

シークラ ゴーシラ

 

星に踊る木から 生まれたわれら

踊るわれら

ゴグラの森から 生まれたわれら

踊るわれら

宇宙は 星に踊る木

宇宙は 星に踊る森

 

ゴグラ シークラ

ゴグラ シークラ

ピークラ ピークラ