2020年8月5日水曜日

パッチュラくんと星の仙人 (1/3)


『パッチュラくんと星の仙人』を紹介します。








サンゴの星が 波空に

ゆらゆらと 散りばめられると

青い魚たちは

島のみぎわに集まっていった

パッチュラくんと星の仙人の

うたがきこえる





トウーン・ト・トン

トウーン・ト・トン

ここカニが一周できる島

ここは サンゴの小島

椰子やしの木 ひとつ茂る

白き砂浜には

遊ぶ カニたちの

うたごえ 聞こえる

トウーン・ト・トン トウーン・ト・トン





我ら カーリーの星探し

真上に 光り星なければ

見えない星を 突刺して

どこまでも

トン・クルルー トン・クルルー

 

カーリの星


 

大きな星を 抜ければ

やがて堅い星ありて

真赤な顔して 力こめ

やっとの思いで 抜ければ

四角星に 三角星

トン・クルルー

星の角を抜けるなら

光り流れの星散りて

トン・クルルー

深い宇宙の 底までも

さらにさらにと 星探し

緑の 緑の 星探し

 

※カーリーの星

人の頭上高く、真上には必ず縁の星が輝いている。知られざる星(デレスタ)ともいわれ、何千年に一度、それを感知する人が現われるといわれている。その時その星は、緑の光を放ち幸運を宇宙にもたらすという。伝説の星。





砂に ころがって 遊ぶ波

ポポン・ポーン

海いっぱいに しかれた

星をくずす 青い魚たち

風にうたう 一本椰子

 

流れる星は海にとめられてやってこない



海の底まで 星があるよう

時たま 星が流れても

星は 青い魚たちのように

ぶつかることは ない

ポポン・ポーン

たとえ 星が落ちようとも

流れる星は 海にとめられて

ドン

青い魚たちのところへ

いきようもない





星の好きな

魚さんたちが

星に会いに

夜空に

みんな 泳ぎはじめたら

どんなに 海は

小さく なろうか

プルン プルン プルン

 

星に会いに夜空を泳ぐ魚たち


 

波のりを 楽しむ カニも

どこまで 海はむこうへと

去っていくのか 波をみる

プルン プルン プルン

白砂を 穴の外へ出しおわった

カニも背のびすると

夜空に群なして 泳ぐ

魚たちのことを

ププ プルン ププ プルン

波に ねそべっていた 海が

こたえて いった

「夜空が広がる分だけさ」と





オレンジ色に 輝く

星をつれておいで

ホホ ホー

あんなに

高い椰子の木さえ

届きはしないものを

 

星をつれておいで


 

青い魚さんよ

こたえて おくれ

ホホ ホホ ホー

それは

沈めれば いいさ

おもりに

石をつけ




白い雲が ひとつ

水平線に

現われて

スウー・ト・トン スウー・ト・トン

夜空の 青い星に

飛んで ゆくよ

 

雨がかたむく島


 

やがては 黒い衣を

青い海 に垂らして

スウー・ト・トン スウー・ト・トン

雨が かたむく島は

三本椰子の島





カニの 穴の 隅隅まで

星の光が ふる夜

トコトコ トコトコ トコトコ トン

浮かぶ 白砂に

椰子の 木影に

砂に もぐる カニよ

砂に はしる カニよ

 

カニの眠り


 

カニよ

砂に 眠るのは

そんなに 心地よいかい

波の音ばかり 聞いて

眠れるものかよ

ピルーン ピルーン ピルーン

穴の中にいれば

聞こえるものは

わずかなのさ




つづく
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